アンティーク腕時計専門店|アドヴィンテージ - advintage -





Brand Story: File 14...Vintage Tissot.
2018.01.14 Sunday | category: Brand Story

現在もオメガを筆頭とする世界的コングロマリット〈スウォッチ・グループ〉の傘下にあり、腕時計業界のトップランナーとして知られる〈ティソ〉。中でも革新性を前面に出す独自の商品開発は、同グループの中でも一際異彩を放つ存在です。

ティソが産声を上げたのは1953年。スイスの時計生産地として有名なジュウ渓谷のル・ロックルで、シャルル=フェリシアン・ティソと、その息子シャルル=エミール・ティソによる時計メーカーから、その160年以上に及ぶ長い歴史は始まります。その最初期から時計製造の技術革新による時計の普及を目指してきましたが、三代目となるシャルル=ティソが開拓したロシア市場を中心に時計の輸出を行い、ロマノフ朝の皇帝に愛されたブランドとしても知られています。

 

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ティソが腕時計を製造するようになった1900年、すでに懐中時計の分野でティソは、ヌーシャテル天文台のクロノメーター・コンクールでいくつもの優勝を獲得するなど、その実力は揺るぎないものとなっていました。1917年のロシア革命によってロシア市場を失ってしまうものの、自社で腕時計用のエボーシュ(半完成品のムーブメント)を製造する体制を整えたほか、腕時計の分野でも様々なコンクールや博覧会に出展し数多くの受賞を記録しています。


とはいえ、現在ではオメガやロレックスに比べると地味な存在。決して誰もが知るブランドではありませんが、その歴史を辿ると多くの画期的な発明や挑戦をとともに、腕時計の発展に無くてはならない重要な存在であることに気付かされます。そういうところが個人的にも好き。

ティソと言えば、1953年に発表された「ナビゲーター」が特に有名です。国際化が進み、世界のどこの時刻でも一目で分かる機能を搭載したこの腕時計は「ワールドタイマー」とも呼ばれ、これもまた数多くのブランドに採用され、現在では「旅行時計」の定番となっています。

ただ、個人的にはそういった華々しいモデルよりもティソの質実剛健な基礎開発に惹かれます。1930年に発表した世界初の耐磁性を持つムーブメントを搭載した「アンティマグネティーク」は、その後の腕時計業界全体のスタンダードを作ったと言っても過言ではないと思います。

 

 

 

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アンティマグネティークの原理は、それまで主に鉄が素材として用いられていたヒゲゼンマイとテンプに、独自の合金を使用することで磁気帯びを防ぐというもの。その後の耐磁モデルで一般的となった軟鉄インナーケース式ではなく、腕時計の心臓部そのものを耐磁化するという抜本的な発想で、現在では特殊シリコンを素材に採用し、その耐磁性能は飛躍的に高まっています。

バリエーションの豊富さも、このムーブメントの汎用性の高さを象徴しています。角形ケースや金無垢ケースといったクラシカルなドレスウォッチだけでなく、ミリタリーウォッチやスポーツモデルへも積極的に用いられました。こうした汎用性の高さも含めると、ティソの開発したアンティマグネティークの功績は非常に大きいものだと分かります。

 

 

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アンティマグネティークと並んで豊富なバリエーションを持つのが、1942年に発表された防水モデル「アクアスポート」。持ち前の耐磁性に加え、耐震装置〈ショックレジスト〉を装備したムーブメントを、防水性の高いねじ込み式ケースに閉じ込めています。

 

 

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1940年代特有のプリミティブなルックスと、ヴィンテージ特有の硬質感を放つステンレススチールケースの組み合わせが何とも言えない。質実剛健を地で行くティソの良さを凝縮しています。

今回セレクトした3本は、それぞれテイストが異なるものの文字盤デザインやアラビア数字のフォントが酷似。同時代のトレンドが透けて見えます。

 

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ティソはアンティマグネティークの発表と同じ1930年、オメガとともにSSIH(スイス時計工業株式会社)をジュネーブで結成します。この団体はスイスの時計産業関連メーカーを結集し、その生産と流通をコントロールすることを目的としており、現在のスウォッチ・グループへ繋がる巨大コングロマリットの先駆けになりました。

良くも悪くも巨大化したコングロマリットは、消費者層に合わせて傘下ブランドの立ち位置を操作する傾向にあります。特にティソは世界初と名のつく開発を幾度となく行ってきたチャレンジングなメーカーであり、どちらかというとテクノロジカル、スポーティといったイメージを先行させ、コストパフォーマンスを重視した若者向けのラインナップに目が集まります。

ヴィンテージ・ティソは、そのクラシカルな佇まいとともに、時計がツールというよりもステータスに寄り始めるグローバル化以前の、本質的な時計の魅力を伝えてくれているように感じます。



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Brand Story: File 13...VINTAGE LONGINES
2017.06.03 Saturday | category: Brand Story

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圧倒的に知名度で勝るオメガよりも、なんとなくロンジンに惹かれてしまう。

 

19世紀末からライバル関係にあるこの2つのブランドは、その多くの製品に精度や着け心地の良さ、クオリティの高さといった面で似通った存在です。

 

しかしながら現行品のブランドマッピングにおいては、ロンジンはオメガに大きく水をあけられてしまっています。時計に詳しくない人でも、オメガは聞いたことがあるという人は多いでしょう。

ヴィンテージ・オメガも良いですが、個人的にはヴィンテージ・ロンジンの良さも知って欲しい。名機CAL.12.68Zをはじめとした極めて基礎体力の高いムーブメントもさることながら、そのルックスにも味わい深いものがあります。


 

 


9Kの英国製金無垢ケースを纏ったロンジン。英国市場向けの腕時計は、国内のウォッチケースメーカーがサプライヤーとして採用されることが多いため、他国向けとはまた趣きの異なる個体が多いのが特徴ですが、ロンジン程の名門ともなると、そのクオリティやユニークネスも秀逸なものが揃います。

 

 

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線の細いデザイン性が交わる、対のロンジン。ビッグサイズのシリンダーケースモデルと、直線的なフレキシブルラグモデル。どちらも個性溢れるケースデザインを持ちながら、クラシカルな落ち着きのある表情をたたえた腕時計。そして、バンブーブレスレットがよく似合う。
 

 

 

 

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ステップドベゼルのドイツ陸軍モデルと、シックなツートーンダイヤルのロンジン。いずれも1940年代という限られた時期にだけ見られるデザイン性。その激動の時代を象徴するかのような、対のロンジン。
 

 

 


言わずと知れた、名機「ウィームス」。長距離飛行に欠かせないセコンドセッティング機能を備えた、いわゆるミッションウォッチの代表格で、ロンジン以外にもモバードやルクルトといった名門によっても手掛けられています。US版の小振りなモデルが一番お洒落だと、個人的に思います。


ちなみに現行のロンジンがオメガに比べて知名度で劣るのは、両者の親会社であるスウォッチ・グループの意図的なブランド操作によるものだということは言うまでもありません。知っての通りスウォッチ・グループにはオメガやロンジン以外にも様々有名時計ブランドが傘下にあり、それらが競合しないようセグメント分けされたブランドイメージが構築されているのです。

例えばオメガは世界市場でロレックスやカルティエと競合する高級品として、ロンジンについてはオメガより低い価格帯に位置付けられ、優雅さや古典的な様式を表現する腕時計としてブランディングされています。また広告や協賛活動を通じたイメージ戦略においても、同様のセグメンテーションが見られます。オメガをここまで有名にしたのは、おそらく映画〈007〉のジェームス・ボンドでしょう。世界中で冒険をする中で、彼が着用するシーマスターは、オメガにこの上ない知名度を与えました。

しかしあくまでこれらは現行品の話。1940年代のヴィンテージ・ロンジンは、大衆操作で作り上げられたブランドイメージとは無縁の、プロフェッショナルにして質実剛健な腕時計が数多くあります。購買層を食い合わないようにオメガと差別化され、ブランドイメージを意図的に格下げされた現行ロンジンの、本当の魅力を味わえるのはヴィンテージなのです。



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Brand Story: File 12...JUNGHANS
2017.05.12 Friday | category: Brand Story

 


ドイツが誇る、国内最大の時計メーカー〈ユンハンス〉。

バウハウスの巨人、マックス・ビルのデザインした腕時計を中心に、現在も高い人気を誇るジャーマンウォッチブランドの雄です。1903年には世界最大の製造数を誇った事でも有名ですが、ヴィンテージウォッチにおけるユンハンスの存在感と言うと、いまいちぼんやりしているというのが現状だと思います。

実力がありながら、ヴィンテージ・ユンハンスが市場になかなか現れないのは、現存する個体で良好なコンディションを保ったものが非常に少ないと言う点にあります。

 


ユンハンスの原点となるのは、1861年にエルハルト・ユンハンスがシュヴァルツヴァルト地方のシュランベルクで創業した壁掛け時計工房。「黒い森」を意味するシュヴァルツバルト地方は、木製クロックの原材料である豊かな森林資源に恵まれ、またライン川を中心とした水運による輸出の容易さ、時計製造の本場スイスとの地理的な近さなど、古くから時計産業が根付いていました。有名な鳩時計もその原型はシュヴァルツバルトで生まれました。ユンハンスはその中でいち早く台頭した歴史を持つメーカーではあるものの、その製品は巨大な壁掛け時計や、目覚まし時計と言ったクロック類が中心でした。

 

 

 

 

 


ユンハンスが懐中時計の製造を経て腕時計の生産をスタートしたのは1923年。他の世界的な時計メーカーと比べると、少し遅咲きの部類に入ります。そしてその時の主力商品は、非常にリーズナブルな腕時計が中心でした。

その市場の中心地は、当時世界最大の時計消費地であったアメリカ。現地ですでに人気を博していた、「ダラー・ウォッチ」と呼ばれる受け石を用いないムーブメントを搭載した安価な腕時計に対して、ユンハンスは同じく受け石を用いずも、円錐ピボット軸受を採用したテンプ、クラブトゥース脱進機、耐震装置を備え、安価ながら非常に信頼性の高い腕時計で対抗し、多くのシェアを獲得しました。

しかしながら、それらは受け石を持たない以上、ハイクオリティなムーブメントを搭載した他の腕時計のように、現在もヴィンテージウォッチとして日常使用に耐える寿命を保つ個体はほとんどないのが現状です。

受け石を持つユンハンスのムーブメントでも、その多くは下の画像のような7石のチープなもの。ハイジュエルと呼ばれる15石以上の十分な受け石を装備したムーブメントは少なく、しかもユンハンスは機械式腕時計の製造に早いタイミングで見切りをつけ、電気時計の製造に舵を切ってしまったため、その数は一層限られたものになりました。

 

 


逆に言うと、ユンハンスのハイジュエル・モデルで、良好なコンディションを保っている腕時計は非常に貴重。しかも高い技術力を誇るドイツの工作技術に裏打ちされたクオリティの高いドイツ製ムーブメントは、スイス製に劣らない信頼性とメンテナンス性を持っています。

 

 

 


当店で幸運にも入手できたミントコンディションのユンハンスがこちら。バウハウスやモダニズムの影響が強いデザインが多い中、珍しくミリタリーウォッチ然とした風格ある貴重な一本です。

 

 


搭載されているのは15石の自社製ムーブメントで、1951年から製造が開始されたCAL.98。ユンハンスのトレードマークである、頭文字Jを中心とする六芒星の刻印が見られます。テンプの受け石に被さっている三つ支えのパーツが、「ルビーショック」の名を持つ特徴的な耐震装置。これは裏蓋側だけでなく文字盤側の受け石にも装備されています。


対照的に、モダニズムの影響が前面に出た文字盤デザインを持つのがこちら。もはやアラビア数字は用いられず、高度に意匠化されたこのインデックスデザインは、「スパイダーネット」と呼ばれています。

 

 


1950年代半ばから製造が開始された、17石のセンターセコンドモデルCAL.98S1を搭載。上掲のCAL.98と同様、こちらもルビーショックがテンプの受け石に見られるほか、ムーブメントから三本のバーがケースに向かって伸びているのが分かります。これもユンハンスのユニークなケース内耐震構造で、バネ棒のような構造を持ったロッカーバーがムーブメントへの衝撃を抑えると同時に、機止めの役割も担っています。


英国には〈スミス〉が、フランスには〈リップ〉があるように、ドイツにもユンハンスという純国産のハイクオリティムーブメントを持つ腕時計があります。しかしながら、その魅力はきちんと紹介されていないのが現状。なかなか入手の難しいジャンルではありますが、今後もこのような知られざる名門を追いかけたいと思います。
 



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"J.W.BENSON" .....The english watch tradition.
2017.04.28 Friday | category: Brand Story

〈J.W.ベンソン〉は、腕時計の英国ブランドの良さを凝縮したような存在だと思います。

美しく、質実剛健。そんな言葉がぴったりくる腕時計が多く、またバリエーションも豊富。〈スミス〉もまた豊富なラインナップを持っていましたが、J.W.ベンソンの場合は様々なメーカーに製造を委託しており、そのバリエーションはデザイン面でも仕様面でも、メーカーの個性が全面に出たものになっているのが特徴です。

 

※関連記事 ≫≫ J.W.ベンソンの歴史


J.W.ベンソンの腕時計と聞いて最初に思いつくのが、後に「トロピカル」と称されるこの一本。

 

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ウォッチケースメーカー〈フランソワ・ボーゲル〉が手掛けた2ピースのクッションケースと、ポーセリンダイヤルの組み合わせ。熱帯気候でも使用できる腕時計というのがコンセプトで、高温多湿対策として気密性を高めるスクリューバック式の防水構造に加えて、インナーキャップを装備することで防塵性を確保。さらにポーセリンダイヤルは白磁製なので日焼けの心配がありません。

さらにムーブメントを手掛けたのが、J.W.ベンソンと付き合いの長い〈シーマ〉ということもあり、同社オリジナルの耐震装置である「シーマフレックス」を装備。耐震装置自体の歴史も浅かった当時の広告には、”SANDPROOF, WATERPROOF, SHOCKPROOF”の三語が踊り、その堅牢性が謳われています。

他に金無垢・銀無垢のバリエーションがありますが、個人的にはこのステンレススチール製が一番。当時の質の高いステンレススチールは、独特の質感とともに高級感があり、カジュアル・ドレスいずれのシーンでも真価を発揮する高い汎用性が持ち味です。


そして、ローマ数字インデックスモデルのバリエーションが多いのもJ.W.ベンソンの特徴。

 

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この3本はいずれも〈スミス〉が製造を手掛けた腕時計。第二次大戦後、純英国製腕時計の製造を開始したスミスは、数多くのJ.W.ベンソンのショップウォッチを手掛けることになりましたが、このローマン・インデックスを基調とした文字盤は、元はスミスが用いていたデザインに源流を見出すことができます。

 

 

 

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こちらは戦後間もない頃に製造された、いわゆるアーリー・スミスのローマン・インデックスモデル。初期はこのように全数字インデックスでしたが、1950年代に入りモダニズムの潮流が強くなると、間にモチーフを挟んだコンビネーション・インデックスに変更されることになります。

 

 

 

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1950年代後半を過ぎると、そのインデックスの載せ方にも変化が出てきます。このようにアプライド・インデックスで立体的に仕上げることで、より高級指向の強いドレスウォッチという趣に。

 

 

 

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これはもうひとつのバリエーション。クロームプレートケース×ステンレススチールバックという素材構成以外は、上の金無垢モデルと全く同じデザイン。いずれもデニソンケースです。

 

 

 

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スミス以外のメーカーによるJ.W.ベンソンも様々ありますが、こちらは〈フェルサ〉の自動巻きムーブメントCAL.1560を搭載したスイス製。25石のウルトラ・ハイジュエルのムーブメントがJ.W.ベンソンのハイエンド指向を物語っています。34mmの大振りなステンレススチールケースは、1960年代という時代性に即したサイズ。

 

 

稀代の政治家・実業家の白洲次郎がその懐中時計を愛用したことで、日本でも一部の人にはその名を知られるJ.W.ベンソン。しかしながら、有名ブランドに比べればほとんど知られていないブランドであるのも事実です。こうした「知られざる本物」というスタンスの腕時計にこそ、有名ブランドにはない魅力が満載されています。

明日4/29(土)、恵比寿店は通常通り営業しております。ご都合が合えば、是非。

 

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Brand Story: File 11...Watch Case Company "E.B.E."
2017.04.26 Wednesday | category: Brand Story

これが、

 

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こう。

 

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ラグが自由に動く、フレキシブルラグ。別名スウィングラグ。

ラグが動くから、何か便利なことがあるわけでもない。一応、稼働するラグを利用して手首のサイドに着用する事で、自動車のステアリングを握ったまま文字盤を視認できるため、「ドライバーズウォッチ」とも言われることも。ただ実際にそうしている人がいるかどうかは不明。

それでも、ラグを可動式にすることで生まれるスタイリッシュなデザインやギミック性が、特別な魅力を形成しているのは確かです。

ブランドの異なるこちらの3本は共通して、とあるウォッチケース専業メーカーが手掛けたケースが採用されています。それが今回フィーチャーするウォッチケースメーカー〈E.B.E.〉。名前以外の情報はほぼ皆無。ただ言えることは、英国市場向けのモデルのみ手掛けていること、そして「フレキシブルラグ × スクリューバック」のパターンでケースを作っていたこと。それだけです。

 

 

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ケース素材は、現在のところステンレススチール製か9Kの金無垢が確認されています。スクリューバックにコインエッジが配されているのも特徴のひとつ。その内側にはこのような刻印が見られます。

 

 

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「前方からムーブメントを取り出し、ベゼルを外して下さい」

"REMOEVE MOVEMENT FROM FRONT AND UNSCREW BEZEL"

 

このメッセージは、まずもって作業者がこのスクリューバックを取り外した状態からスタートするということを示唆しています。

 

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この状態から、先のメッセージに従ってムーブメントを取り出します。

 

 

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するとこのように、ムーブメントがベゼルとともにミドルケースから離脱します。

注目したいのは、ムーブメントに纏わせたケーシングリング(中胴)にスクリューのネジ山が切ってある点。下の部分はベゼルで、このベゼルは裏蓋と同様にネジ山が切られたねじ込み式となっており、”UNSCREW”することでムーブメントから外すことができます。

この構造は、〈以前の記事〉でご紹介したロレックス初期のオイスターケースと同様の構造(リューズ部分は除く)となっています。一般的なスクリューバックケースはネジ山がミドルケースに切ってありますが、ケーシングリング(中胴)にネジ山を切り、ミドルケース内でベゼルと裏蓋の双方でねじ込むことでケース内部の気密性を保つという、二重構造になっているのが分かります。

 

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ロレックスはコスト削減のため1940年代以降、この緻密な構造を持つケースの製造をやめましたが、E.B.E.社はかろうじてこの構造を守り続けていた数少ないメーカーということになります。

華麗なフレキシブルラグと、タフなオイスターケース。この2つの良いところ取りをしたE.B.E.ケースは、イギリス市場向けの腕時計にしか見られない特別なもの。スミスのデニソンケース然り、このような英国時計の個性は、地元のケースメーカーを積極的に採用するという姿勢によって生み出されています。

決して派手ではありません。しかし、この奥ゆかしさは日本のものづくりにも共通する感性があるように感じます。僕がイギリスの腕時計にとても惹かれる理由はそこにあるのかもしれません。

 

 

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