アンティーク腕時計専門店|アドヴィンテージ - advintage -



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SMITHS, another profile.
2019.05.17 Friday | category: Theme

今回のテーマ、”SMITHS, please!”。

その魅力を、今回はちょっと変わった切り口でご紹介します。


◾️最高級のエクスプローラーモデル

スミスの腕時計の多くは、英国国内の企業から従業員に対し、永年勤続記念に贈るケースが多かったことは有名です。様々な企業がこうしたプレゼンテーションウォッチの慣習を持っていましたが、特にその名をしばしば見る企業として〈ブリティッシュ・レイルウェイズ〉や〈インペリアル・ケミカル・インダストリーズ〉などが挙げられます。

最も多いのが、金無垢の非防水モデル、つまりドレスウォッチラインでしたが、中でも自動車関連企業は景気が良かったのか、金無垢のスクリューバックケースを採用した贅沢なハイエンドラインを贈っていました。

ケースはご存知デニソン社製のアクアタイトケース。金無垢のボディはふくよかなシルエットと上品で柔らかな輝きを持ち、ずっしりとした重量感が魅力。実は金無垢の防水ケースというジャンル自体、オメガをはじめとするビッグブランドにほとんど限られていたので、まさにデニソン社の金無垢アクアタイトケースは極めて重要な存在なのです。
 

 


▲英国の老舗高級車メーカー〈ブリストル・カーズ〉と、その関連企業で航空機エンジン部門の〈ブリストル・シドレー〉による贈呈品。太っ腹です。


◾️スミスの愛した文字盤

スミスは、そのベストセラーモデル「デラックス」を発表した1952年から、晩年となる1960年代後半まで、長きにわたって使い続けた文字盤デザインがあります。アラビア数字と楔形インデックスを交互に配し、ミニッツインデックスをその内側に置くスタイルがそれです。

まさに、スミスが愛した文字盤。このデザインはミッドセンチュリーデザイン特有のボリューム感を持ちながら、アール・デコを彷彿とさせるクラシックなテイストが差し込まれたユニークなタッチ。ツートーンダイヤルも一般的には1950年代以前のトレンドであり、それが凝縮感のあるハンサムなルックスを生んでいるのです。

 


▲スミス名義以外に、他社名義の別注アイテムにも使われるこの文字盤。ディテールに微妙な差異があるのも味わい深いポイント。


◾️対の腕時計

そして特にスペシャリティの高いモデルがこちら。ガラードが別注した対の腕時計で、どちらも裏蓋に刻印を持たない、数少ない正規販売で流通した個体です。

 

 


見ての通り、非常にデザイン性の近い両者ですが、見事に役割分担をしています。左はインデックス、針に夜光塗料を伴い、堅牢なアクアタイトケースを採用したスポーツ・ミリタリーモデルに対して、右はアップライトインデックスにブルースチール針、スナップバックケースという典型的なドレスウォッチ。


金無垢ケースという共通項を持ち、メインテーマはドレス。しかし方向性は異なる対の腕時計。シーンに合わせて使い分けることの美学を体現しています。


◾️初期の別注モデル

1947年に英国で初めて腕時計ムーブメントの本格的な国産化に成功したスミス。いわば"MADE IN ENGLAND"という「称号」を持つスミスの腕時計には、当初から国内のジュエラーも各社熱い視線を送っていたようです。

控えめなアラビア数字やミニッツトラック、上質なブルースチールの時分針など、素朴ながらプリミティブな魅力に溢れた文字盤デザインに、デニソンケース。このフォーマットに自社ブランドを冠した別注品のオファーが、国内の宝飾品店を中心に多く寄せられていました。

 


▲左から、〈ジェームズ・ウォーカー〉、〈トーマス・ラッセル〉、〈J.W.ベンソン〉、そしてスミスのオリジナル。いずれも1947年〜1950年に製造された初期モデルです。リリース直後から別注に対応していたスミスも流石というべきか、すごい。



| advintage | 00:59 | - | - |


Monthly Collection Theme: "SMITHS, please!"
2019.05.06 Monday | category: Theme

英国のウォッチブランド〈スミス〉。最近はadvintageを知っていただくきっかけになっていることも多いかもしれません。僕がスミスに出会ったのは、イギリスに買い付けに行くようになって2回目の頃だったと思います。

当時僕自身はまだ今ほどヴィンテージウォッチを無数に見ていたわけではなく、コンセプトもあまり定まっていない頃でした。イギリス、ドイツ、フランスと三ヶ国を回っていて、一番心惹かれたのが金無垢の腕時計でした。それが一番多く手に入るのがイギリス、中でもスミスというブランドは、デザインがユニークで存在感がある、当時の僕にものすごく訴えかけてくるものがありました。

ベースはクラシック、でもクラシックという枠に収まらない世界観。古いのに新しい、そんなイメージ。

さらに、英国で初めて腕時計を国産化して、エベレストにも登ったのに、今では存在しないブランド。日本でいうセイコーのような確固たる実績があるのに、一般的にはそれほど知られていない。もうこれだけで僕の興味を引くには十分な存在でした。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、advintageはブランド推しはそれほど好きじゃないし、スミス専門のお店でもありません。でもスミスはadvintageのセレクトの基準というか、コンセプトを最もわかりやすく体現するブランドだと思います。

それなのに、今までほとんど特集という特集をしてきませんでした。渋谷の実店舗には並んでいるのですが、特にウェブ上やインスタグラムでまとめてご紹介するということはほとんどありませんでした。

というわけで今月のテーマは、”SMITHS, please!”。文字通り、advintageのヴィンテージウォッチのセレクトを最も体現する英国ブランド〈スミス〉が主役です。ドレスウォッチが中心のスミスですが、エベレスト初登頂で知られるエドモンド・ヒラリー卿の愛機、アクアタイトケースを採用したタフモデルもラインナップ。またスミスが英国の宝飾品店から別注を受けて製造した、毛色の異なるモデルにも注目です。

 

"Collection"ページに掲載する20点も一新しました。是非。


 



| advintage | 01:25 | - | - |


What is the first vintage?
2019.04.08 Monday | category: Theme

最初に買うべきヴィンテージウォッチって何?人によって重視する部分が違うので、その輪郭が定まりづらい今回のテーマですが、セレクトのコンセプトはずばり、「汎用性」です。

ヴィンテージウォッチ最大の弱点である防水性、耐衝撃性をある程度クリアしていることが前提で、加えて身に付ける人の装いや場所を選ばないデザイン性を備えていることが最大のポイント。初めて買うヴィンテージウォッチは、毎日でも着けたいと思うのが自然です。でも非防水ケース、耐震装置非搭載のドレッシーなヴィンテージウォッチは、綺麗でかっこいいけどやっぱりガンガン使ってしまうとオーバーホールの頻度がどうしても増えてしまう。

ケースもできればソリッドなものが好ましい。長年使うと磨耗して地金が露出しかねないメッキ系のケースよりも、金無垢・銀無垢、そしてオールステンレススチール(SS)製のケースが比較的安心かと思います。

じゃあミリタリーウォッチでいいじゃん?という声も聞こえますが、そうでもない。意外とミリタリーウォッチは着回しが難しいのです。デニムとかラフなスタイルにはいいけど、ドレッシーな装いに合うものは少ないんです。


だからといって、何処にでもそつなく着けていける質の高いヴィンテージウォッチは、意外とありそうでない。
なぜか?そういう機能性とデザイン性を備えたものは人気がある上、レアだからです。

1960年代以前のヴィンテージウォッチは、ケースの素材や作りがとにかくバラバラ。金無垢や銀無垢の貴金属はもちろんのこと、SS製のケースも当時は高級品でした。ドイツ語ではエーデルシュタール(高貴な鋼鉄)というほどで、美しい質感と非常に高い硬度を持つ反面、加工が難しく、特別な工作機械の設備投資ができる一部のメーカーのみが扱えるもの。オールSSの防水ケースや繊細なデザインのケースが少ないのも頷けます。

だからこそ、金銀無垢やオールSSでスクリューバック、しかもドレッシーな文字盤デザインの腕時計を選んでおけば、まず人と被ることはないと思います。とりあえずお買い得だからと勧められて買ったヴィンテージが、結局みんなとおんなじ顔のオメガ・ロレックス、、、ってちょっと悲しくないですか?

 

 

▲防水ケース製造の大家として名高い〈フランソワ・ボーゲル〉のオールSS防水ケースを採用した、〈ブラヴィントンズ〉の腕時計。耐震装置、耐磁機能も備えたタフモデルにもかかわらず、ドレッシーでハンサムな顔立ちが特徴。

 


 

 

▲フラットなベゼルが階段状に連なるステップドベゼルは、独特の重厚感を持つ1940年代にわずかに見られたデザイン。ヴィンテージ市場では特に人気の高いディテールですが、中でも珍しいのが複数のステップを持つマルチステップドベゼル。重厚感に加え繊細さすら漂うレアピースです。

 


 

 

▲かつて英国に存在した、"E.B.E."というウォッチケース専業メーカー。全く謎の存在ですが、こちらのようなフレキシブルラグとスクリューバックを採用した唯一無二のユニークケースを作っていました。素材のバリエーションは金無垢かSSの高級素材のみで、ロンジンやJ.W.ベンソンといった有名ブランドもこぞって採用していたようです。

 


 

 

▲裏蓋はすべてコインエッジ仕上げのスクリューバック。ラグは180度スムーズに動くため、繊細さとともにアクティブな雰囲気も。



| advintage | 18:36 | - | - |


Monthly Collection Theme: "The First Vintage"
2019.04.01 Monday | category: Theme

セレモニーが増えるこの季節、advintageにもちょっといい時計を探しに初めてのヴィンテージウォッチを選びに来られるお客様も多くなります。そこで今月は、初めてのヴィンテージに相応しい腕時計を、advintage目線でセレクトしてみたいと思います。

テーマは「ファースト・ヴィンテージ」。だけど、ありきたりなエントリーモデルを紹介するつもりは毛頭ありません。エントリーモデルにしてスペシャル、それくらいの熱量で、永く付き合っていける伴侶となりうる一本を探す一助となれば幸いです。

ヴィンテージウォッチにとって「使い分けの美学」は欠かせないものと思っています。ドレスウォッチにはドレスウォッチの、スポーツモデルにはスポーツモデルの着用シーンが決まっていて、そのシーンにあった腕時計をチョイスする。ある種の面倒くささに醍醐味を見出すというものですが、そもそもヴィンテージウォッチというジャンルで最近の腕時計みたいな汎用性の高いものが極端に少ないという、表裏一体の問題が存在していることも事実です。

今回は、敢えてその汎用性にチャレンジしたい。「ドレッシーにしてタフ」という良いところ取りのレアピースを中心に、最初に手にとるべきヴィンテージを探求します。
 

 



| advintage | 16:50 | - | - |


Art Deco & Porcelain Dial.
2019.03.20 Wednesday | category: Theme

腕時計が本格的に実戦に投入され始める契機となった第一次世界大戦。その際にあった様々なケースデザインのバリエーションのひとつに、クッションシェイプがありました。

角形のようでいて緩やかにカーブを描くユニークなシルエットが、まるで座布団の形のようであることがその名の由来。もとはミリタリーウォッチに端を発するトレンチデザインながら、ドレスウォッチの典型として1940年代末頃まで好んで用いられたスタイルのひとつです。
 


1940年代に製造されたこちらの銀無垢と金無垢のクッションケースモデルは、ポーセリンダイヤルや針のデザインなど、懐中時計のディテールを多分に残したスタイルが特徴的。

こうしたクッション・デザインは、1950年代以降はほとんど目にしなくなります。アール・デコ期、半ば狂騒的に巻き起こる、ラウンド形ケースからの脱却という潮流の中で生まれた、徒花的クラシックと言えます。

 

 

 

 


その独特の乳白色が魅力的ですが、他方その扱い方にも注意が必要なのがポーセリンダイヤル。基本的にメタル製のベースプレートに乗っているとは言え、硬い床の上に落下させたり強くぶつけたりすると割れる可能性があるので、ラフな扱いは禁物です。

こうしたポーセリンダイヤルをはじめ、懐中時計のディテールを継承するクラシックな腕時計は、扱う人自身も当時のことに少し思いを馳せる必要があります。移動・通信手段が発達した今ほど時間がスピーディに過ぎていなかったこと、「メンテナンスフリー」なんて言葉はない時代だったこと。

アウトドアやタフな環境で使う時計はそれ用のものがあったし、ドレスウォッチはドレスウォッチとして然るべきシーンで、いずれも大切に着用するものでした。ドレッシーな場面でダイバーズウォッチとか、たとえロレックスでも本来は場違い。昔と今とでは、腕時計に対する意識がだいぶ変わっているとは言え、長い年月を経た旧い腕時計を身につけるなら、それなりの敬意を払うべきなのかもしれません。

メンズファッションにおいてはことさら、腕時計にもビジネススーツのような汎用性が重視される昨今。装身具をシーンによってきちんと使い分けることを意識すれば、気分も少しリッチになる気がします。



| advintage | 15:42 | - | - |

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