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Brand Story: File 8...OYSTER WATCH CO. & The "Oyster Case"
2016.08.04 Thursday | category: Brand Story

夏場に威力を発揮する、防水設計の腕時計。

アンティークォッチにおける防水ケースの代表格といえば、オイスターケースを抜きにしては語れません。オイスターケースは、ロレックスのみならず、《チュードル》など同社傘下のブランドにも同じものが使用されていることでも有名です。
 

アンティーク 腕時計

 


特に重要な存在であったのが、《オイスター・ウォッチ・カンパニー》。

オイスター社にかんする情報は非常に乏しいのですが、1920年代にロレックスが買収・取得したオイスターケースの特許技術を伴って、いわばロレックスのディフュージョンブランドとして傘下に発表されました。ロレックスと同じケースを使用し、ムーブメントはフォンテンメロン(FHF)社のCAL.59を使用するという形式で、カナダ・北米を含めた比較的幅広い市場に展開しました。その後1940年代に、同じロレックスのディフュージョンブランドである《チュードル》が発表されると、オイスター社はその役割を終えるかのように市場から消えることになります。

ちなみに、北米におけるロレックスおよびオイスター社の最初の販売代理店として知られるのが、あの《アバクロンビー&フィッチ》。現在はアパレルで知られるブランドですが、当時は主にハイエンドなアウトドア用品チェーンとして北米で確固たる地位を占めていました。堅牢なオイスターケースは、特にスポーツやキャンプといったタフなアウトドア・シーンにマッチするアイテムとして、同社が選ばれたという形です。

ロレックスと同じオイスターケースを使用し、かつバリエーション豊富でクラシックな文字盤デザインを持つオイスター社の腕時計は、advintageでは特におすすめしたいブランドのひとつ。今回は、このオイスターケースについて紐解いてみたいと思います。

 

 

ロレックスの専売特許というイメージの強いオイスターケースですが、その歴史をたどってみると、ロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフの計算高い特許買収工作が見えてきます。

 

初期のオイスター社の腕時計の裏蓋には、その先進性を訴えるかのように数多くの特許番号が見られます。英国、スイス、米国と三ヶ国で特許番号が異なるため、数字の羅列が多くなっていますが、実際には大きく分けて2つの技術が用いられています。

 

アンティーク 腕時計


その特許技術のひとつが、独特のねじ込み式防水ケース。刻印されている特許番号は、英国(BRITISH PATENT)が”274788”、スイス(SWISS PATENT)が”120851”で、1926年にロレックス社によって取得されています。

ウィルスドルフが夕食の際、牡蠣を開けて食べるのに難儀した際に思いついたとも言われるオイスターケースですが、1926年の特許内容が示す内容は、一般的に知られるミドルケースをベゼルと裏蓋の双方からねじ込むという構造とはひと味違います。つまり、外周がねじとなったケーシングリング(中胴)がミドルケース内でムーブメントを包み、それを直接ベゼルと裏蓋の双方からねじ込むという、いわば二重の構造となっていることがわかります。

 

アンティーク 腕時計

 

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こうしてみると、ケース自体が複数のパーツから構成されていたことが分かります。このねじ付き中胴を伴った複雑なオイスターケースは、実際にはほとんど初期(1920年代〜30年代)のモデルにしか実装されていません。コストダウンが主な目的と思われますが、以降のロレックス系ブランドに用いられる高度な金属加工技術を伴ったオイスターケースの高い防水性能は、もはや説明不要。

 


そしてオイスターケースを特徴付けるもうひとつの特許技術が、スクリューロック式のユニークなリューズ。特許番号は、英国が"260554”、スイスが”114948”。

とりわけ重要なのが、この”114948”の特許番号。これはポール・ペルゴーとジョルジュ・ペレという2人の人物によって1925年にスイスで取得されています。翌1926年にロレックスのウィルスドルフがこれを買収した後、同年英国で”260554”として新たに特許を取得しています。

 

アンティーク 腕時計


この特許における画期的なリューズの防水構造は、その後のロレックスのオイスターケースの原点と言えますが、いくつかの欠点を備えています。

ひとつは、16の数字が示すゴムパッキンの存在。ゴムパッキンは基本的に使用の度に劣化していくため定期的な交換が不可避で、完全防水を目指すウィルスドルフ自身、ゴムパッキンによる防水を信用していませんでした。

さらにもうひとつの欠点は、リューズ操作スクリューロックおよび解除を行う際、巻真(4)も一緒に動いてしまうという点。この構造では半時計回りにリューズ(8)をねじ込むことでロックできる一方、一度巻き止まりまでゼンマイを巻き上げた後ロックしてしまうと、ある程度稼働させてゼンマイを解放させなければ時計回りにリューズが回らず、スクリューロックの解除ができないという弊害が残っていました。

これらの欠点を解消したのが、1926年にウィルスドルフ自身が取得した改良型スクリューロック式リューズの特許です。英国の特許番号”274788”、スイスは”120848"になります。

 

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画期的なのは、赤く塗りつぶされた部分(9)と黄色の部分(12)で示されるクラッチ式のジョイント構造です。ロック状態から解除する際は、巻真はそのままでリューズのみが回転し、ロックが解除されるとバネの力でリューズが上部に押し出され、同時に9と12が噛み合い巻真(5)とリューズ(4)が一緒に動きます。さらに従来のゴムパッキンを排し、内部のシーリングソケット(6)を備えることにより、防水性を確保している点も見逃せません。

 


以上の2つの重要な特許技術がロレックス・オイスターの屋台骨と言えます。いかにも堅牢な風貌のオイスターケースは、これら非常に繊細かつ斬新な設計の元に成り立っているのです。

まさに質実剛健。特徴あるフォルムは、伊達ではないってことですね。

 

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