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Brand Story: File 11...Watch Case Company "E.B.E."
2017.04.26 Wednesday | category: Brand Story

これが、

 

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こう。

 

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ラグが自由に動く、フレキシブルラグ。別名スウィングラグ。

ラグが動くから、何か便利なことがあるわけでもない。一応、稼働するラグを利用して手首のサイドに着用する事で、自動車のステアリングを握ったまま文字盤を視認できるため、「ドライバーズウォッチ」とも言われることも。ただ実際にそうしている人がいるかどうかは不明。

それでも、ラグを可動式にすることで生まれるスタイリッシュなデザインやギミック性が、特別な魅力を形成しているのは確かです。

ブランドの異なるこちらの3本は共通して、とあるウォッチケース専業メーカーが手掛けたケースが採用されています。それが今回フィーチャーするウォッチケースメーカー〈E.B.E.〉。名前以外の情報はほぼ皆無。ただ言えることは、英国市場向けのモデルのみ手掛けていること、そして「フレキシブルラグ × スクリューバック」のパターンでケースを作っていたこと。それだけです。

 

 

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ケース素材は、現在のところステンレススチール製か9Kの金無垢が確認されています。スクリューバックにコインエッジが配されているのも特徴のひとつ。その内側にはこのような刻印が見られます。

 

 

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「前方からムーブメントを取り出し、ベゼルを外して下さい」

"REMOEVE MOVEMENT FROM FRONT AND UNSCREW BEZEL"

 

このメッセージは、まずもって作業者がこのスクリューバックを取り外した状態からスタートするということを示唆しています。

 

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この状態から、先のメッセージに従ってムーブメントを取り出します。

 

 

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するとこのように、ムーブメントがベゼルとともにミドルケースから離脱します。

注目したいのは、ムーブメントに纏わせたケーシングリング(中胴)にスクリューのネジ山が切ってある点。下の部分はベゼルで、このベゼルは裏蓋と同様にネジ山が切られたねじ込み式となっており、”UNSCREW”することでムーブメントから外すことができます。

この構造は、〈以前の記事〉でご紹介したロレックス初期のオイスターケースと同様の構造(リューズ部分は除く)となっています。一般的なスクリューバックケースはネジ山がミドルケースに切ってありますが、ケーシングリング(中胴)にネジ山を切り、ミドルケース内でベゼルと裏蓋の双方でねじ込むことでケース内部の気密性を保つという、二重構造になっているのが分かります。

 

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ロレックスはコスト削減のため1940年代以降、この緻密な構造を持つケースの製造をやめましたが、E.B.E.社はかろうじてこの構造を守り続けていた数少ないメーカーということになります。

華麗なフレキシブルラグと、タフなオイスターケース。この2つの良いところ取りをしたE.B.E.ケースは、イギリス市場向けの腕時計にしか見られない特別なもの。スミスのデニソンケース然り、このような英国時計の個性は、地元のケースメーカーを積極的に採用するという姿勢によって生み出されています。

決して派手ではありません。しかし、この奥ゆかしさは日本のものづくりにも共通する感性があるように感じます。僕がイギリスの腕時計にとても惹かれる理由はそこにあるのかもしれません。

 

 

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Brand Story: File 10...CRUSADER
2017.04.15 Saturday | category: Brand Story

英国顏の腕時計。
なんとなくお分かりでしょうか、この顔つき。控えめで偏屈、そして味わいのある顔です。
 

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いずれも英国市場にのみ流通した腕時計。その土地の美意識に即した結果なのか、三針のスモールセコンドという点を除いても、感性の近いデザイン性が伺えます。

そして今回注目したいのは、中央にある〈クルセイダー〉という腕時計。

ご存知の方はほとんどいないと思います。

 

 

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僕がこの腕時計に惹かれるのは、その英国顏100%のデザイン。彫りの深い表情。特にアラビア数字の存在感や風合いが、飛び抜けて良い。クラシカルで美しいルックス、完璧なレイルウェイ・インデックスが全周を包括しているのもニクい。


その素性はほとんど明らかになっていません。が、僕は今までに何度か出会ったブランドで、ずっと気になって探していました。数少ない情報を纏めると、そのブランドは1872年にバーミンガムで設立された〈アディ&ラブキン(Adie & Lovekin Ltd.)〉というイギリスの銀製品メーカーが、1940年代に展開していた腕時計のブランドということになります。

 

 

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この〈アディ&ラブキン〉、1968年に閉鎖されるまで主にシルバーの皿やカトラリーその他の銀製品を製造していました。ジュエラー(宝飾品店)が腕時計ブランドを持つということは、英国以外にも世界的なブランドを含めて数多く例があります。しかしジュエラーでも時計メーカーでもなく、「シルバースミス(Silversmith=銀細工師)」が腕時計ブランドを展開するというのは、とても風変わり。それでいて、非常に英国らしい背景と言えます。

クルセイダーの腕時計は、市場では1930年代から1950年代後半頃のものが散見されます。スイス製のムーブメントを輸入し、英国内でケーシングする、典型的なエタブリスール・ブランドですが、その仕様は極めてユニークなものです。

その腕時計の多くは、この画像のように透明なフィルムを用いたシーリングキャップを備えています。中には天然ゴムで固定してあり、「クルセイダー・ギャランティー・シール」と称して、このシーリングが無事であれば補償対象とする旨を明記してある腕時計もあります。ちなみにこちらは緩急針とリューズ取り外し用のビスを操作できるようスリットが入ったタイプ。

 

 

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さらに特筆すべきは、クルセイダーの腕時計のほぼすべてがデニソンケースを採用しているということ。ステンレススチールはもちろんのこと、銀無垢のケースも存在します。

デニソンケースと言えば、英国が誇る高品質ウォッチケースの代名詞。〈ロレックス〉や〈オメガ〉の英国市場向けモデルの多くには、この〈デニソン〉社のケースが採用されています。当然ながら英国時計の雄〈スミス〉も、このウォッチケースブランドを好んで使っていました。

トップに挙げたの3本の腕時計に、デザイン性以外にも何となく似ていると思った方はさすが。いずれもデニソンケースを採用したモデルです。〈ティソ〉〈クルセイダー〉〈スミス〉と、ブランドは違えどその美しいケースフォルムは唯一無二。

※関連記事 ≫≫デニソンケースについて

 

 

またベゼル一体型のワンピースケースと、溝が深く切り込まれた密閉製の高いスナップバックにより防水性が高められた特殊な構造は、“MERMAN(人魚)”のペットネームをまさに体現しています。「デニソンケースにこんなバリエーションがあったのか」と、僕自身も驚かされたモデルでもありますが、スクリューバック式がまだ最新技術であった時代、腕時計の防水性について様々な試行錯誤が行われた愛すべき時代の産物と思うと、その存在感も増幅します。

 

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クォーツショック以前は、星の数ほどという形容詞が当てはまるくらい、本当に数多くの時計ブランドが存在しました。通り一遍等のものもあれば、現代では考えられない異色な世界観を持つものもあり、〈クルセイダー〉というブランドは、その良さを正しく見出されるべきブランドのひとつであることは言うまでもありません。

 

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A brief history of SMITHS
2017.03.14 Tuesday | category: Brand Story

メイド・イン・イングランドにこだわり続けた孤高のブランド、〈スミス〉。


スミスの歴史は、1851年にサミュエル・スミスがロンドンで創業した宝飾品・時計販売店から始まります。古くはスイスと肩を並べる時計製造技術を持っていた英国でしたが、二度の世界大戦によって老舗メーカーの工場が壊滅的な被害を受け、そのブランドの多くはスイス製のムーブメントにシフトせざるを得ませんでした。

一方スミス社は、元来持っていた高い時計製造技術を生かし、当時隆盛したモータースポーツの分野において、車載時計やスピードメーターの製造で危機を切り抜けました。結果スミスのスピードメーターはアストン・マーティンやローバー、トライアンフといった英国メーカーにこぞって採用されることになります。

戦後になってスミスは、新たに腕時計の製造を開始。ロンドン近郊、チェルトナムの自社工場で作られる純英国製の腕時計は、1953年に新たな画期を迎えます。その年ジョン・ハント率いる英国登山隊が人類初のエヴェレスト登頂を目指し、その頂に立ったエドモンド・ヒラリー卿がスミスの「デラックス」を着用していたのです。この歴史的偉業により、スミスの腕時計の信頼は揺るぎないものとなりました。

これ皮切りに、1950年代から1960年代にかけて数多くの腕時計をリリースし、スミスは英国製時計メーカーとして不動の地位を得ます。しかし1960年代後半、電池式のクオーツ時計が開発されると、いわゆるクォーツショックがスイスを中心とするヨーロッパの時計産業を襲い、星の数ほどあった中小の機械式時計工房は、そのほとんどが閉鎖に追い込まれました。オメガ、ロンジンといった名門が、クオーツムーブメントの導入に舵を取って生きながらえる中、スミスは英国製の機械式ムーブメントにこだわり続けた結果、時計製造分野からの撤退を余儀なくされました。

スミス特有の控えめながら芯の通った質実剛健な雰囲気は、英国製にこだわって散ったスミスの矜持が生んだ、唯一無二の魅力と言えます。

 

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Brand Story: File 9...Mido
2016.10.16 Sunday | category: Brand Story

当時のハイテクを凝縮した最先端のスポーツウォッチで知られる、《ミドー》の「マルチフォート」。

やや小振りなケースサイズが大きな特徴ですが、そのデザインは文字盤と同様にバリエーションに富んでいて飽きさせません。今回はその歴史と、バリエーションに焦点を当ててご紹介します。
 

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ミドーは1886年にジョルジュ・シャーレンが、スイスのソロトルンで創業した時計メーカー。1920年代までは、当時流行したアールデコスタイルの腕時計が中心でしたが、1934年「マルチフォート」の発表を機に、そのブランドイメージは従来の古典的な印象から、革新的な技術力と高いデザイン性へと一新しました。

 

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当時の広告にはスポーツイメージが多用され、高いウォータープルーフ(防水)機能と腕の動きによる効率的な自動巻上げ機構を備えた腕時計という、先進性が強調されたものになっています。

 

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下は“WINDS AS YOU GO”が合い言葉となる一連のスポーツシリーズの広告の中でも、”GO”が”SWIM”に差し替えられたバージョン。マルチフォートは当時、徹底的なテストを経て完成したシリーズとしても名高く、防水テストに置いては真水と海水の両方に1,000時間以上浸け、さらに水深120mにおける使用テストもクリアしなければいけないという徹底振り。

 

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この、ミドーの代名詞とも言えるロングセラーモデル「マルチフォート」は、防水性、耐水性、対磁性さらに自動巻きムーブメントという4つの利点を取り込んだ、当時としては過去にないハイスペックな腕時計として人気を博すと同時に、《エルメス》がレザーベルトを制作してミドーの腕時計を販売しており、デザイン性における評価の高さも窺い知れます。下は1937年のエルメスの広告。

 

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当時エルメスが販売していたマルチフォートと同じモデルが、次の画像の右の腕時計。エルメスも惚れ込んだ品のあるケースデザインと、アール・デコ的なレイルウェイ・インデックスが印象的。現在のアップルウォッチのような革新性とデザイン性を兼ね備えた存在であったことがうかがい知れます。ちなみに左は、小振りなケースが特徴のマルチフォートには珍しいラージモデル。

 

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そして数あるミドーのマルチフォートの中でも、特に珍しい文字盤が採用されているのがこちら。ブラックミラーダイヤルにホワイトのレイルウェイ、夜光アラビア数字といったミリタリーテイストが強調されたデザインに加え、ブランドロゴが大文字になっています。

 

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オクタゴンケース、シリンダーケースといった変則的なケースデザインが多いのもマルチフォートの特徴ですが、下のようなオーセンティックなラウンドケースは逆に新鮮。右は《オイスター・ウォッチ・カンパニー》の腕時計で、丸みを帯びたベゼルと「マジェスティックダイヤル」と呼ばれる24時間計インデックスを備えた文字盤など、共通項の多い2本。

 

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同じものを探すのが意外にも難しい、多くのバリエーションを誇るミドーのマルチフォート。使い勝手の良い堅牢な構造とセンスの良いデザインで、個人的にイチオシのブランドです。



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Brand Story: File 8...OYSTER WATCH CO. & The "Oyster Case"
2016.08.04 Thursday | category: Brand Story

夏場に威力を発揮する、防水設計の腕時計。

アンティークォッチにおける防水ケースの代表格といえば、オイスターケースを抜きにしては語れません。オイスターケースは、ロレックスのみならず、《チュードル》など同社傘下のブランドにも同じものが使用されていることでも有名です。
 

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特に重要な存在であったのが、《オイスター・ウォッチ・カンパニー》。

オイスター社にかんする情報は非常に乏しいのですが、1920年代にロレックスが買収・取得したオイスターケースの特許技術を伴って、いわばロレックスのディフュージョンブランドとして傘下に発表されました。ロレックスと同じケースを使用し、ムーブメントはフォンテンメロン(FHF)社のCAL.59を使用するという形式で、カナダ・北米を含めた比較的幅広い市場に展開しました。その後1940年代に、同じロレックスのディフュージョンブランドである《チュードル》が発表されると、オイスター社はその役割を終えるかのように市場から消えることになります。

ちなみに、北米におけるロレックスおよびオイスター社の最初の販売代理店として知られるのが、あの《アバクロンビー&フィッチ》。現在はアパレルで知られるブランドですが、当時は主にハイエンドなアウトドア用品チェーンとして北米で確固たる地位を占めていました。堅牢なオイスターケースは、特にスポーツやキャンプといったタフなアウトドア・シーンにマッチするアイテムとして、同社が選ばれたという形です。

ロレックスと同じオイスターケースを使用し、かつバリエーション豊富でクラシックな文字盤デザインを持つオイスター社の腕時計は、advintageでは特におすすめしたいブランドのひとつ。今回は、このオイスターケースについて紐解いてみたいと思います。

 

 

ロレックスの専売特許というイメージの強いオイスターケースですが、その歴史をたどってみると、ロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフの計算高い特許買収工作が見えてきます。

 

初期のオイスター社の腕時計の裏蓋には、その先進性を訴えるかのように数多くの特許番号が見られます。英国、スイス、米国と三ヶ国で特許番号が異なるため、数字の羅列が多くなっていますが、実際には大きく分けて2つの技術が用いられています。

 

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その特許技術のひとつが、独特のねじ込み式防水ケース。刻印されている特許番号は、英国(BRITISH PATENT)が”274788”、スイス(SWISS PATENT)が”120851”で、1926年にロレックス社によって取得されています。

ウィルスドルフが夕食の際、牡蠣を開けて食べるのに難儀した際に思いついたとも言われるオイスターケースですが、1926年の特許内容が示す内容は、一般的に知られるミドルケースをベゼルと裏蓋の双方からねじ込むという構造とはひと味違います。つまり、外周がねじとなったケーシングリング(中胴)がミドルケース内でムーブメントを包み、それを直接ベゼルと裏蓋の双方からねじ込むという、いわば二重の構造となっていることがわかります。

 

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こうしてみると、ケース自体が複数のパーツから構成されていたことが分かります。このねじ付き中胴を伴った複雑なオイスターケースは、実際にはほとんど初期(1920年代〜30年代)のモデルにしか実装されていません。コストダウンが主な目的と思われますが、以降のロレックス系ブランドに用いられる高度な金属加工技術を伴ったオイスターケースの高い防水性能は、もはや説明不要。

 


そしてオイスターケースを特徴付けるもうひとつの特許技術が、スクリューロック式のユニークなリューズ。特許番号は、英国が"260554”、スイスが”114948”。

とりわけ重要なのが、この”114948”の特許番号。これはポール・ペルゴーとジョルジュ・ペレという2人の人物によって1925年にスイスで取得されています。翌1926年にロレックスのウィルスドルフがこれを買収した後、同年英国で”260554”として新たに特許を取得しています。

 

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この特許における画期的なリューズの防水構造は、その後のロレックスのオイスターケースの原点と言えますが、いくつかの欠点を備えています。

ひとつは、16の数字が示すゴムパッキンの存在。ゴムパッキンは基本的に使用の度に劣化していくため定期的な交換が不可避で、完全防水を目指すウィルスドルフ自身、ゴムパッキンによる防水を信用していませんでした。

さらにもうひとつの欠点は、リューズ操作スクリューロックおよび解除を行う際、巻真(4)も一緒に動いてしまうという点。この構造では半時計回りにリューズ(8)をねじ込むことでロックできる一方、一度巻き止まりまでゼンマイを巻き上げた後ロックしてしまうと、ある程度稼働させてゼンマイを解放させなければ時計回りにリューズが回らず、スクリューロックの解除ができないという弊害が残っていました。

これらの欠点を解消したのが、1926年にウィルスドルフ自身が取得した改良型スクリューロック式リューズの特許です。英国の特許番号”274788”、スイスは”120848"になります。

 

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画期的なのは、赤く塗りつぶされた部分(9)と黄色の部分(12)で示されるクラッチ式のジョイント構造です。ロック状態から解除する際は、巻真はそのままでリューズのみが回転し、ロックが解除されるとバネの力でリューズが上部に押し出され、同時に9と12が噛み合い巻真(5)とリューズ(4)が一緒に動きます。さらに従来のゴムパッキンを排し、内部のシーリングソケット(6)を備えることにより、防水性を確保している点も見逃せません。

 


以上の2つの重要な特許技術がロレックス・オイスターの屋台骨と言えます。いかにも堅牢な風貌のオイスターケースは、これら非常に繊細かつ斬新な設計の元に成り立っているのです。

まさに質実剛健。特徴あるフォルムは、伊達ではないってことですね。

 

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